光秀の心の中(生徒作品)
前々から、文化センターの生徒さんは「作文をブログに載せてみる?」「載せて載せて!!」と勢いあるお返事をくれていました。それなのに、なかなかアップできずごめんなさい。
9月に取り組んだミニ小説の一部です。「(一般的には)悪役とされるキャラクターを主役にして物語を考える」というのをやりました。例に挙げたキャラは、バイキンマン、ジャイアン、鬼、魔女、などです。(ジャイアンは悪役なのか、という議論も生まれましたが(笑))
ある程度キャラ付けをされていると、設定も膨らませやすいので小学生の創作とっかかりにはおすすめです。ルールは「悪役は最後には必ず負けることにする」「死ぬ、殺す、という終わらせ方はしない」こと。高学年クラスにはくじ引きでそれぞれ「悪役ふるさとに帰る」「悪役新たな必殺技を作る」「悪役〇〇大会に出る」などの個別ルールを作って、各自取り入れてもらいました。
少しずつ紹介しますね。読みやすいように、改行などは私で入れているところがあります。
ペンネーム イチゴさん(小6)作品 「光秀の心の中」
【この生徒さんのルールは、『悪役、一句詠む』でした(笑)冒頭の部分ですね】
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「信長は 怒ってばかり、恐ろしい」
明智光秀は心の中で思った。 織田信長は、明智光秀のことを気にいっているはずなのだが、よく怒り、領地がえをしょっちゅうする。だからだ。
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しかし、豊臣秀吉は
『実力があれば出世させてもらえる。さすが信長様だ。』
と言っている。なぜそのように思うのかがわからない。 ただ、わかっているのは、豊臣秀吉は機転がきき世渡り上手だということ。自分にとっては、ライバルのような存在だと思う。
悩みがあるときは、鷹狩りで気分を紛らわし独り言でつぶやいてみる。
『なぜだろう、わからない。』
もちろんだれも言葉で返してくれない。その場には、人間がいないのだから。 けれど木や草たちが、 『大丈夫だよ。大丈夫だよ。』
と風にのってそよそよと言ってくれているような気がしている。 そうするとがんばるしかないかと思う。 やはり春は気持ちが良い。桜もきれいに咲き、鳥たちも元気にさえずるからだ。それに嫌いな寒い寒い冬が終わり暖かくなったのだ。
ビュービューと風が強くなってきた。 そろそろ家に帰ろうかな。風邪をひいても困るから。 鷹を呼び馬に乗って帰ろう。 いい匂いがする。もう夕飯の時間だったのか。グー… 確かにお腹が空いている…
あー美味しかった。 今日は、春の食べ物があってとてもおいしかった。
明日も忙しい1日になるから早く寝なくては。 じゃあこの本1冊読んでから寝るとするか。
「信長様は元気で過ごしているだろうか。 しかし、信長様が天下をとったら恐ろしいことになるだろう…。」
そして月日は流れ天正10年6月2日 、信長様は
『豊臣秀吉に援軍をして行ってやれ』
と言われたが、私は信長様のいる寺に向かった。 30vsわが軍13,000で戦った。
そして信長様を… 自害へと追い込んだ。
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ところが、毛利と戦っていた秀吉はなんと京都の方まで攻めてきたのだ。
そして光秀は、負けて逃げた。
20数年後、戦いが終わり長く平和な世になる。
光秀も信長もこのような世を目指していたのではないか。
みんな世を良くしようと思い、戦い勝ち自分で良い世を作り上げようと思った。
気持ちはみんな一緒だったのだろう。
(終)
本能寺の変をおこした明智光秀の心の中を想像して書いたのだそうです。ナレーターとなっている筆者イチゴさんが、途中で光秀の視点に立って告白し、最後はナレーションでまたしめくくっているのがおもしろいですね。
筆者が、歴史を「人の心によって動かされたドラマだ」と愛情を持ってとらえていることがわかります。こつこつ書いていましたね。
指導の参考にさせて頂きました↓(よく使っています)
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